記事広告うんぬん

※本記事は2019年12月22日にnoteで公開した記事を再編集の上公開したものです

最近盛り上がってる話題について自分の思うところをつれづれと。とくに結論はなく個人の見解です。

ガイドライン

まずはこれ。WOMJが策定したガイドライン。

WOMJガイドライン(2017年12月4日release) – WOMマーケティング協議会
https://www.womj.jp/85019.html

ガイドラインがすべて正しいということではないけど1つの基準としてとても重要。あと後述するけどこのガイドラインはしっかり作られているので内容としてはこれでほぼいい気がする。どちらかというと課題は運用。

記事広告で表記すべきこと

ガイドラインにはこうある。

3. 関係性の明示
(ア) 情報発信者に対して、WOMマーケティングを目的とした重要な金銭・物品・サービスなどの提供が行われる場合、マーケティング主体(中間事業者でなく主催者)と情報発信者の間には「関係性がある」と定める。
(イ) 関係性がある場合、情報発信者に関係性明示を義務付けなければならない。関係性明示は、主体の明示と便益の明示の両方が、情報受信者に容易に理解できる方法で行われるべきである。
① 主体の明示:マーケティング主体の名称(企業名・ブランド名など)の明示
② 便益の明示:金銭・物品・サービスなどの提供があることの明示

記事広告はタイトルにも入れろとかOGP画像にも入れろとかいろんな意見があるけれど、大事なのは「関係性の明示」であって「何かしらの提供を受けているならちゃんとオープンにしましょう」ということ。クリックしたら記事広告だった、という心情そのものは理解できるものの、それは関係性の明示とは本来関係ない。

ルールというのは細かく設定すればするほど逃げ道ができやすくなるものなので、あまり細かく定義することで抜け穴が生まれ、その穴を塞いだら別の穴が…という対策に追われるのも本質でないし、そもそものステマは「お金なり物品なりサービスもらってるならそれはちゃんと書け」というシンプルなルールなので、「関係性の明示」かつ「主体」「便益」の2つが定義されているこのガイドラインは必要にして十分だと思う。

タイトルに記事広告表記

これを踏まえてタイトルに記事広告を入れるかについて。すくなくともガイドラインにそういう規定はないという前提踏まえて、入れた方がいいのか悪いのか、という点で言うとタイトルに入れない方がいい派。

まずは個人的な感情として、タイトルは文字数に限りもあるのでそもそも好きなことをいろいろ書けないということに加えて、自分のアウトプットとしてタイトルに余計なものいれたくないというのがある。これは別に記事広告だけじゃなくて、ハッシュタグもあんまりタイトルには入れたくない。なので自分のブログではWordPressの機能使ってブログには入れないけどTwitter投稿の時だけハッシュタグつける、というように最近はしている。

とはいえここまではあくまで自分の感情なんだけど、もうちょい業界的に考えたときにもタイトルに記事広告入れるということが広告業界に対してネガティブになっちゃわないか、という思いがある。

記事タイトルに入れろというのは「クリックしたら広告だった」というのを避けるためなんだけど、それって「広告=つまらない」「広告=悪」という前提。消費者が現状そう思っちゃうのは仕方ない、だけど広告業界がそれ受け入れて「そうだよね広告だもんごめんね」と諦めてしまうのは果たして広告業界において正しい未来なのだろうか。

似たような事例で前から気になってるのは、Webや動画でコンテンツ見る前に広告が流れ「○秒後にスキップできます」と表示されるやつ。あれって「広告=スキップするもの、みたくないもの」というのを広告掲載側が自ら認めてるのってとても悲しく思ってしまう。広告で収益上げているならそれを見てもらうこともとても大事なことであって、せめて「○秒後に本編が見られます」とか言えないものなのだろうか。

繰り返しながら「クリックしたら広告だった」を嫌がる気持ちそのものは理解できる。けれどクリックした先でちゃんと関係性を明示してたらそれはステマではないので、少なくともタイトルに入れることは必須ではない。あとは読者に対してどんなスタンスで臨むかというのがタイトルと記事広告の問題ではなかろうか。

アフィリエイトはどうなの

記事広告で関係性明示するならアフィリエイトはどうなの? という意見もちらほら見られたけど、それは関係性明示なのか収益が発生しているのか、がごっちゃになっていると思ってる。

大事なのは関係性の明示、であれば、Amazonアソシエイトとかは明らかにアフィリエイトであることがわかる。そしてアフィリエイトでいかに儲けていようとそれは明示されているならそれはステマとは別のお話。

ここでもうちょっと掘り下げたときに、記事の見た目ではただの画像なんだけどクリックしたらAmazonだった、という場合はどうなのか。これもタイトルと同じ「クリックしたら広告だった」という話とステマは別、であって、クリックした先がAmazonのアフィリエイトリンクだったらガイドライン上はステマではない、はず。そもそもAmazonがアフィリエイトツールとして公式に「画像だけ」という貼り方を提供しているしね。

一方でアフィリエイトリンクかどうかはある程度知識がないとわからない。あまりネット詳しくない人からすると、ただのおすすめだと思ってたのに「これお金がもらえるから紹介してたのね!」と思われてしまう可能性だってある。

なお、WOMJガイドラインにはこういう記述もある。

⑭ (関係性が自明の場合の特例)情報発信者とマーケティング主体の関わりが、WOMマーケティングのターゲット層に十分に認知されている場合に限り、関係性明示を省略することを許容します。ただし、情報受信者の正しく情報を知る権利を尊重する観点から、関係性を明示することを推奨します。

アフィリエイトはそもそもステマではないので本来的には関係ないんだけど、WOMJの主旨を踏まえるならば「明らかにアフィリエイトと認知されている」というジャンルまでAmazonが達しているかどうか、というのも視点かも。

個人的にはAmazonアソシエイトは「公式画像そのまま記事に使える」というメリットが大きく、一方でAmazon表記の入る素材はこう、見た目がいまいちなのでできれば画像だけにしたいなーというのは正直なところ。

ただ、Amazon表記があるからといってそれがアフィリエイトかどうかは厳密に言えば別なので、もしブログ側で表記するとしても、「これはアフィリエイトですよ」という表記をブログ側でやらないと意味がないのかもしれない。贅沢を言うならアフィリエイトリンクのときは「affiliated by Amazon」みたいな文言やアイコンとともにリンク生成する機能をAmazonが作ってくれるといいなあ、それもデザインかっこいいやつで。

書いてて思ったんだけど記事ごとに書くよりもサイドバーとかフッターとかに「本ブログのAmazonはアフィリエイトになってます」と書くほうがシンプルなのだろうか。このあたりは自分の中でもこれといった着地が見いだせてなくて、ひとまずは「Amazonが画像のみ、テキストのみも提供しているので、ブログで表記するまでは必要ない」というのがいまのところの見解です。

根本的には、アフィリエイトで問題となるのはアフィリエイトなのにアフィリエイトだとわからないような紹介の仕方があったときで、中間URL挟んでリダイレクト、みたいなやつは関係性が(中間URLが存在することは把握できなくはないものの)リンク先ではまったくわからないし、そもそもアクセス解析で流入だけ見るんだとしたらそんなURLも不要なわけで、そういうアフィリエイトだとしたらちゃんと文中で関係性明示しないといけない。ただそんなことする人はそもそも関係性明示したくないからするんだろうなという気もするけど。

物品提供と記事広告

ここもなかなかセンシティブなところですが、基本に立ち返って「関係性の明示」が重要なのであれば、「物品提供がありました」「サンプルをもらいました」と書けばそこは明示されているのであり、少なくともステマではない。

ただ、現実問題として「ものもらったら悪いこと書きにくい」というのは人間心理としてあるわけで、すごく邪悪な視点からすると「製品を無料で渡しておけば悪いこと言われにくくなるだろう」ということを考えている人もいるかもしれない。ただそれも関係性が明示されているならあとは読者に判断してもらうしかないかな。

物品提供を広告扱いするのか、というところは、確かに金銭ではなくとも物品提供受けているので収入にはなっているのですが、書く側の視点から言うと、借りているものと自分のものとでは正直なところ書く内容にも影響はでるんですよね…。ステマはだめなのでもらったりモニターしたりは明記すべし、として、物品提供受けたら広告、という区切りはちょっと悩ましいところですが、少なくともステマではないしステマの文脈で議論するとちょっと方向がおかしくなるかなとは思う。

記事広告のPR表記

これも結構指摘が多いけれど広告は「AD」であって「PR」ではない。細かい用語なんかどうでもいいと思われるかもしれないけれど、PR業界からするとPRを広告扱いされるのはとても困る。

このあたりの話は長くなるので割愛しますが、すくなくともガイドラインにはこうある。

※「#PR」は、パブリックリレーションズと
混同のおそれがあるため使用は推奨しませんが、
現状のWOMマーケティングの実態に鑑み、
暫定的に使用を許容します。

PRomotionも最初の2文字がPR、なんだけど「PR」という表記は「Public Relations」つまり広報という意味で用いられていることが多く、なのでPRomotionの意味でPR使っちゃうと誤解招くよね、というのが大前提。とはいえ少なくとも日本においては記事広告を「PR」と表記するという風習があり、そういう実態を鑑みて暫定的に使ってもいいよ、というのがガイドラインの内容。

つまりPRタグはあくまで暫定、WOMJが推奨しない表記、のはずなのに、広告業界関係者が文中でPR表記を大前提に話しているのがちょっと困りもの。広告と広報というのは似て非なるものなのですが、記事広告は広告業界の話題なので広報視点の人があまり議論に入ってないよね、という感もあります。

ガイドラインが暫定扱いしているのにもかかわらず、ガイドラインを熟知しているであろう人たちが「PR」表記前提なのは、広報業界も広告業界も足を踏み入れた人間としてかなり寂しい現状です。関係性の明示も大事だし、関係性明示してくれるならPRでもいいや、というのは現実としてあるのは理解しつつ、前向きな未来のためにはもうちょっと「ADって表記使おう」が啓蒙されるとうれしい次第。Sponsoredでもいいけど文字数長いので「AD」が一番適切ではないかなー。

と、夜中のテンションで書き殴ってみました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です